ペインクリニックとは?
ペインとは英語で『痛み』という意味です。ペインクリニックは痛みを治療する科です。
腰痛・ひざ痛といった運動器疾患、神経痛、癌の痛みなど、さまざまな痛みの病気を対象としています。
痛みの治療は内服・注射(神経ブロック注射など)・物理療法・リハビリテーション・認知行動療法など多種あり、これらを組み合わせていくことが大事となります。当院では特に神経ブロックとリハビリテーション(運動療法)を重視しています。
特殊な治療を除き、基本的には健康保険が適応となります。
それぞれの治療方法について
1)神経ブロック注射
2)飲み薬
3)リハビリテーション
4)物理療法
5)心理療法
などを組み合わせることが大事となります。
もちろん健康保険が適用になります。
治療方法について
神経ブロック注射
痛みを起こしている神経や組織に薬(麻酔薬や炎症を止める薬など)を注入することで、痛みを緩和する方法です。痛みが続くと血流が悪くなり、さらに痛みを誘発する物質が出て痛みが悪化するという悪循環に陥ります。神経ブロックは血流も良くしてくれるので、痛みの緩和だけではなく、治癒促進の側面もあります。
薬で痛みが抑えられない時には高周波を使い神経を破壊して痛みを和らげる方法もあります。
また、痛みの原因を探る目的でも行われることがあります。
神経ブロック注射は約40種類ありますが、ほとんどの種類ができるように体制・設備をとっております。
~痛みが少なく、安全かつ有効な方法を目指して~
当院では超音波診断装置やX線透視装置を使用し、有効かつ安全な神経ブロック注射を行うようにしております。また、なるべく細い針を使うなど、痛みの少ない注射を心がけています。
■代表的な神経ブロック注射
星状神経節ブロック、硬膜外ブロック、腕神経叢ブロック、神経根ブロック、関節内注射など
顔面痙攣、眼瞼痙攣に対してはボトックス注射を行っております。ご相談ください。
高周波熱凝固法・パルス高周波法
薬で短期的な効果しか得られない場合、高周波をかけることで長期の鎮痛を得る方法があります。これは従来のアルコールなどの薬液で神経を変性させる方法より、安全度が高い方法です。
飲み薬
一般の痛み止め以外にも神経痛に効果がある薬を使用します。
物理療法(リハビリ治療)
キセノン光線や低周波などで患部の血流を促進して、痛みを緩和します。
リハビリテーション
~痛みの緩和・再発予防のために、運動療法を~
痛みがあると安静にしがちですが、過度の安静はかえって痛みを長引かせることが知られています。長い安静は筋肉の減少・関節の拘縮を招き、痛みの原因ともなります。また、必要な筋肉は高齢になっても鍛えられることが知られています。 痛みを緩和して運動しやすい状態にしつつ、リハビリテーションを行っていくことが、治療にとって大事となります。
ボトックス注射
ボトックスは顔面痙攣・まぶたの痙攣・痙性斜頚,痙縮の4疾患については
保険診療が認められています。(有資格者しか施行できないものです)
当院では顔面痙攣とまぶたの痙攣に対して行っています。
こんな症状でお悩みの方
- ●頭痛
- ●肩こり
- ●目の奥の痛み
- ●顔の痛み
- ●顔の麻痺
- ●顔・目の痙攣
- ●舌の痛み
- ●首・肩の痛み
- ●肩が動かない
- ●手の痛み・しびれ
- ●背中の痛み
- ●腰の痛み
- ●胸の痛み
- ●足の痛み・しびれ
- ●痛みで長く歩けない
- ●足の冷え
- ●多汗症
- ●帯状疱疹の痛み
- ●癌の痛み
- ●手術・けがの後の痛み など
対象疾患
疼痛
頭部 |
片頭痛、筋収縮性頭痛、群発頭痛、頸性頭痛、後頭神経痛、脳血管障害後疼痛 |
顔面 |
三叉神経痛、舌咽神経痛、非定型顔面痛 |
頸肩上肢 |
頸肩腕症候群、頸椎症、胸郭出口症候群、外傷性頸部症候群、頸椎捻挫、五十肩、 頸椎椎間板ヘルニア、頸椎椎間関節症、テニス肘 |
胸背部 |
肋間神経痛、胸椎椎間関節症、胸椎椎間板ヘルニア、開胸術後症候群 |
腰下肢 |
腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、筋筋膜性腰痛、椎間関節症(ギックリ腰)、腰椎圧迫骨折、骨粗鬆症、 脊椎すべり症、坐骨神経痛、腰痛症、脊椎分離症、術後性腰痛、変形性腰椎症、腰椎捻挫 |
四肢 |
変形性膝関節症、膝痛、関節痛、断端痛、幻肢痛、バージャー病、閉塞性動脈硬化症、関節リウマチ、手根管症候群、糖尿病性ニューロパチー、絞扼性神経障害、会陰部痛 |
その他の痛みも相談に応じます。
麻痺
顔面神経麻痺(ベル麻痺、ハント症候群)、外傷性神経麻痺、突発性難聴
その他
レイノー病、レイノー症候群、しもやけ、冷え性、花粉症、アレルギー性鼻炎、下腿潰瘍など
帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹は、子供の頃にかかった水痘・帯状疱疹ウィルスが原因で発症します。
その後、ウィルスは神経の脊髄後根神経節、三叉神経節などに身を潜めています。
十数年を経て何らかの原因で免疫力が低下したときに、潜めていたウィルスが再活性化して神経の分節性支配領域に帯状の水疱と強い痛みを生じます。
帯状疱疹は発症してから3週間から4週間位で、ほとんどは自然に治りますが、この間の強い痛みを耐えしのぐことは容易ではありません。帯状疱疹の痛みには、消炎鎮痛薬が一時的に有効です。また、ペインクリニックで神経ブロックを数回施行し、その直後から痛みは軽くなっていくことが期待されます。
帯状疱疹後神経痛とは、帯状疱疹の皮疹が完全に治癒した後も、痛みと感覚異常が残存し続けているものをいいます。帯状疱疹発症から6カ月以上経過したものとされています。
これは神経因性疼痛の代表として扱われます。高齢の方や帯状疱疹発症から1カ月以上激しい痛みがある方は帯状疱疹後神経痛に移行する可能性が高いと考えられます。
うつ薬などの有効な薬を中心とした薬物療法と神経ブロック療法が主な治療法となります。改善がなければ交感神経節破壊術(神経破壊薬使用、高周波熱凝固法、鏡視下手術)や脊髄刺激装置植込術あるいは神経根の高周波熱凝固法も行われてます。
末梢性顔面神経麻痺
末梢性顔面神経麻痺の原因として最も多いのは原因不明のベル麻痺です。
2番目に多いのは水痘帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうをおこすウイルス)であり、ハント症候群と呼ばれています。顔面神経麻痺に加えて耳介や耳の穴に水疱(みずぶくれ)や痂皮(かさぶた)伴うことで診断されます。めまいや難聴などの内耳障害を合併することがあります。ベル麻痺の中にも、ウイルス(特に風邪の時の口の周りの水疱や口内炎をおこす単純ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルス)が原因となっている例がしばしば認められます。
ベル麻痺の治療法は薬物療法が中心となります。神経の浮腫(腫れ・むくみ)による側頭骨内での圧迫を解除することを目的としてステロイド剤を処方します。
また、単純ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルスが発症に関与していることが疑われており、抗ウイルス剤を投与することもあります。
ハント症候群では抗ウイルス剤、ステロイド剤を処方します。抗ウイルス剤は発症早期にのみ効果がありますので、できるだけ早め(72時間以内) に専門医を受診し治療を開始することが大切です。
星状神経節ブロックは顔面の血液循環改善することにより、ベル麻痺、ハント症候群ともに顔面神経機能回復の効果が期待できる治療法と考えます。
腰痛
腰椎椎間板ヘルニア
腰骨(腰椎)と腰骨の間にあってクッションの役目を果たしている円板を、椎間板といいます。この中心にあるゼリー状の髄核が神経の傍へ飛び出て、足腰へ行く神経(脊髄)を圧迫したり、 刺激したりする病気で、腰や足が痛くなったりしびれたりします。
特に前かがみが難しくなり、洗顔が辛くなります。年配者より若い人に起こりやすい病気です。手術適応がない患者さんには腰部硬膜外ブロック、仙骨硬膜外ブロックなどを中心に治療を行います。
脊柱管狭窄症
足腰へ行く神経(脊髄)の入っている管(腰骨に空いたトンネル:脊柱管)が狭くなり、神経を圧迫する病気です。痛みばかりではなく、 歩いていると足にしびれを感じて、歩くことが辛くなります。しばらくしゃがんで上体を前に傾けると楽になります。
年配者に起こりやすい病気です。
筋筋膜性腰痛
日頃慣れない仕事や運動をした後、1~2日経って体を動かした拍子に腰が痛くなったりする状態のことです。背中の両脇を押すと痛い場所があります。
同じ姿勢を長時間続けた後にも起きます。
ギックリ腰・椎間関節症(ついかんかんせつしょう)
椎間関節というのは腰骨の後ろの関節です。腰をひねって捻挫したり(ギクッとなります)、また変形などで炎症(はれ)を起し、そのため関節に行く神経が刺激され腰痛を起す病気です。いわゆるギックリ腰と呼ばれる腰痛症の多くがこの病気と考えられます。
後ろにそり反ったとき、左右にひねったときに痛みが強くなるのが特徴です。